教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス 監修:腰痛・ヘルニアの専門医療機関 あいちせぼね病院 理事長 伊藤不二夫

脊椎圧迫骨折(背骨の圧迫骨折)

質問と回答

背骨が潰れることがあると聞いたけど・・・

身体の大黒柱である背骨の本体、「椎体」と言われる部分の負荷に耐えかねて潰れてしまうことがあり、これを「圧迫骨折」と呼びます。本来はそう簡単に潰れてしまう事はないのですが、高いところから落下するなど縦方向に強い負荷がかかったときや、骨粗しょう症という、骨がもろくなる病気がある場合などに起こります。

特に骨がもろくなっている場合などはくしゃみをしただけで骨が潰れてしまうことがあることです。体を動かしたときに強い痛みを伴い、寝たきりになってしまうこともあり、ご高齢のかたほど注意が必要です。

圧迫骨折はなぜ起きるの?

圧迫骨折は背骨に強い圧力がかかった際におこりますが、骨粗しょう症といわれる骨がもろくなる病気によっておこることが最も多いと言えます。 骨粗しょう症はホルモンバランスが崩れる閉経後の女性に特に多く、他にも年齢や運動・喫煙などの生活習慣に関わりがあります。

骨粗しょう症によりもろくなった骨は非常に骨折しやすく、圧迫骨折のみならず、太ももの骨の骨折などもあいまって、寝たきりの原因となることもしばしばです。骨粗しょう症の検査は比較的簡単に行えるため、気になる方は一度検査をしてみることをお勧めします。

背骨の圧迫骨折、治療法は?

背骨が潰れてしまうことを圧迫骨折と言いますが、あくまで骨折ですから通常の骨折と同様、治療法は「整復と固定」です。 多くの場合、コルセットを着用して骨がくっつくのを待ちます。圧迫骨折治療のためのコルセットは固く、大きさもあるため、患者様には不評であることが多いですが、それを数ヶ月間着用しなければなりません。最近では潰れた骨に特殊なセメントを注入する手術法「椎体増幅形成術」が開発され、治療期間が短く済み、症状の軽快も早いため注目を浴びています。

◎注目の圧迫骨折手術法「椎体増幅形成術」
圧迫骨折の手術として、椎体増幅形成術というものがあります。理屈は単純で、もろくなり潰れてしまった背骨に特殊なセメントを注入し、膨らませて固めてしまおうというものです。皮膚に局所麻酔を行ない、数ミリほどの針を差し込み、特殊人工骨(骨セメント)を注入する方法です。近年、新しい骨セメントの開発がなされ、副作用や再発の心配も少なくなりました。
一泊程度でも退院が可能なこともあって注目をあびていますが、この手術を受けられる病院はまだ少ないようです。

圧迫骨折の予防について教えて

圧迫骨折はほとんどの場合、骨粗しょう症によって骨がもろくなることで起こるため、それを予防・治療することが、ひいては圧迫骨折を予防することにつながります。 具体的には、適切な栄養(ビタミンD・カルシウム)の摂取や運動、禁煙などの生活習慣の改善が重要です。

すでに骨がもろくなっている方は、投薬や注射によって骨粗しょう症を改善していくことと、転倒や重い物を持ち上げるなど、背骨への過度の負担を避けることが重要です。 特に女性は発症しやすいことから、定期的な骨密度検査を行っておくとよいでしょう。

脊椎圧迫骨折にリハビリは必要?

「背骨の圧迫骨折、治療法は?」の項目でも記載していますが、骨折部が癒合するまでの治療方針としては整復と固定が最優先です。とはいえ、安静にしているだけでは筋力も落ちていってしまいますし、リハビリをやる意義は大きいと言えます。
しかし、リハビリで身体を動かすことによって骨折した部分に負担がかかることは避けなければなりませんから、医療機関で専門家の指示を仰ぐ必要があるでしょう。

脊椎圧迫骨折のリハビリではどんなことをするの?

骨折した直後は、日常生活で背骨に負担をかけない動き方などを練習することからはじめます。その後は痛みなどに合わせて、筋力低下や再発を防ぐための筋力トレーニングや、転倒予防のためのバランストレーニングなどに取り組むのが一般的です。

脊椎圧迫骨折に良いストレッチはありますか?

骨折部位が安定するまでは、背中を丸めたり捻ったりするストレッチは避ける必要があります。骨の状態や痛みに合わせて、上半身や股関節のストレッチなどを行っていきますが、自己判断でストレッチを行うのは危険ですので、必ず医師の指示を仰ぐようにしましょう。
骨折した部位が癒合し安定した後は、背骨や股関節のストレッチを行い柔軟性を獲得すると、再発や転倒予防等に効果的です。

圧迫骨折後は背筋を鍛えた方がいいと聞きました…

背筋は背骨を真っすぐにする働きを持つ筋肉で、圧迫骨折後のリハビリでは特に重要だとされています。

脊椎圧迫骨折では、経過とともに背中が丸まってしまうのが一般的ですが、背筋を鍛えることで、背すじをある程度真っすぐに保つ効果が期待できます。また、背中が丸まってしまうと転倒のリスクがあがったり、内臓が圧迫されて息苦しさや食欲不振に繋がったりなど、多くの影響が出現しますが、それらに対しても有効である可能性があります。

ただし、背筋を鍛える運動は骨折した部位に負担をかける可能性がありますので、必ず医師の指示のもと、適切に取り組む必要があると言えます。

脊椎圧迫骨折の手術後にはどんなリハビリをすればいいの?

圧迫骨折に対する手術(椎体増幅形成術)では、術後数時間で歩くことが可能になります。過度な安静は筋力や体力の低下につながりますので、医師の指示のもとリハビリに取り組むのが良いでしょう。骨セメントを挿入した部分が安定するまでは無理に背骨を曲げたり捻ったりすることなく、ウォーキングなどの全身運動の中で体力を取り戻していくのが一般的ですが、術部の状態に応じて、筋力トレーニングやバランストレーニングを行い、再発予防・転倒予防に努めます。

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東京腰痛クリニック
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監修

伊藤 不二夫

医師 伊藤 不二夫

プロフィール

医療法人 全医会
あいちせぼね病院 理事長

日本整形外科学会専門医
医学博士
(名古屋大学 医学部卒・大学院修了)

伊藤 全哉

医師 伊藤 全哉

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あいちせぼね病院 院長

日本整形外科学会専門医
医学博士
日体協公認スポーツドクター
(名古屋大学 医学部卒・大学院修了)

三浦 恭志

医師 三浦 恭志

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(名古屋大学 医学部卒・大学院修了)

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(あいちせぼね病院 理学療法士)

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