教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス 監修:腰痛・ヘルニアの専門医療機関 あいちせぼね病院 理事長 伊藤不二夫

しびれについて

質問と回答

手がしびれるのですが、なにか病気の前兆でしょうか?

手がしびれる原因としては、大きく4つ「脳」「脊椎」「末梢神経」「内科的疾患」が考えられます。

「脳」が原因の場合、脳出血や脳梗塞により神経が障害され、障害された側と反対側の手足にしびれが出現します。

「脊椎」が原因の場合、頚椎椎間板ヘルニア頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症後縦靭帯骨化症といった首の病気が考えられます。どの病気もしびれだけではなく、痛みや手が動かしにくくなったり感覚が鈍くなったりする“麻痺”が併発する場合があります。

「末梢神経」が原因の場合、手根管症候群や胸郭出口症候群が考えられます。手根管とは、手首にあるトンネル状の管で、骨と靱帯で囲まれた中を神経が通っています。手根管症候群はその神経のトンネルが狭くなり神経を圧迫する病気で、痛みやしびれ、親指の付け根が瘦せてくるなどの症状が出現し、手作業が多い方に多く発症します。胸郭出口症候群については、こちらをご参照ください。

「内科的疾患」が原因の場合、糖尿病性神経障害やビタミンの欠乏が考えられます。
糖尿病性神経障害についてはこちら(糖尿病によるしびれ)をご参照ください。
ビタミン欠乏については、ビタミンB1やビタミンB12が神経の機能に関連していると言われており、それぞれ欠乏すると貧血や脳・末梢神経の機能低下により、しびれや認知機能の低下が起こるとされています。

足にしびれがあるのですが、どんな原因がありますか?

足のしびれも手のしびれと同じく、「脳」「脊椎」「末梢神経」「内科的疾患」といった原因が考えられます。

「脊椎」が原因の場合は、首が原因であった手のしびれとは異なり、腰の病気が原因であることが多く、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症腰椎すべり症などが考えられます。これらも首の病気と同様にしびれや痛み、麻痺などが起こりますが、下半身にだけ症状が出ることが特徴です。

「末梢神経」が原因の場合、腓骨神経障害や足根管症候群などが考えられます。
腓骨神経障害は、足を組んで座ったり、きつめのストッキングを履くと膝の外側を通る腓骨神経が圧迫され、すねの外側から足の甲にかけてのしびれや痛みが起こります。足根管症候群は、内くるぶしの近くにある神経のトンネルである“足根管”の中で神経が圧迫され、かかと以外の足の裏から足の指にかけてしびれや痛みが起こるものです。

「内科的疾患」の原因の場合、手のしびれと同じく糖尿病性神経障害やビタミンの欠乏に加えて、閉塞性動脈硬化症(ASO)が考えられます。閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化が進んで血液の流れが悪くなる病気です。歩行時の痛みや痺れ、冷感などが現れ、さらに進行すると安静時でも同様の症状が出ます。立っていたり歩いていると症状が出現することから、同じく歩いていると症状が強くなってくる脊柱管狭窄症と間違われることがある病気です。

お尻がしびれます。腰痛と関係がありますか?

お尻のしびれや痛みは足のしびれと同じく、訴える方の多い症状です。

お尻の症状に関係する神経は腰椎から分岐しますので、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった、代表的な背骨の病気が原因として考えられますが、その場合は腰痛と関係がある可能性があります。

また、同じようにお尻に症状が出現する梨状筋症候群という病気がありますが、こちらは基本的に腰痛を併発することはありません。

手足が痺れるのはストレスと関係があると聞いたのですが...?

手足の痺れは、過剰なストレスが原因の1つである「自律神経失調症」の症状でもあります。

自律神経は“交感神経”と“副交感神経”からなり、それぞれがバランスよく働くことで身体のあらゆる機能を正常に保つ役割をしていますが、過剰なストレスはそんな自律神経の機能を低下させ、手足の痺れや頭痛、冷え、火照り、めまい、耳鳴りなど様々な不調を生じさせます。

自律神経の乱れは、ストレスを減らし、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、身体を温めるなどを心がけることで改善することがあります。あまりに長く続いたり、生活に支障が出たりするようであれば病院を受診することをお勧めします。

手や足の痺れがありますが、病院に行った方が良いのでしょうか?

前述のように一口にしびれと言っても原因は様々ですから、一概にすぐ病院にかかった方が良いとは言えません。症状が軽く、生活に支障がない場合は様子を見ても大丈夫だと思いますが、長期間治らないしびれや、悪化傾向にあるしびれ、また手足が動かしにくかったり感覚が鈍くなったりしている場合などは、背骨の病気が原因である可能性が高いため専門医の受診をお勧めしています。

手足のしびれがありますが、病院の何科にかかれば良いですか?

しびれというだけでは原因がはっきりとわかりませんので一概には言えないのですが、脳梗塞など脳の病気であれば「脳神経外科」、腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患であれば「整形外科」、末梢神経であれば「整形外科」「内科」、糖尿病など内科的疾患であれば「内科」へ受診するのが一般的です。

しかし、これらは自分で簡単に判断できるものでもありませんので、まずはかかりつけの病院で相談し、専門医への紹介をしてもらうのも良いでしょう。また、MRIやCTなどの検査が可能な医療機関であれば、適切な診断が受けやすいと思います。

手の痺れや足の痺れに効くツボ、マッサージなどはありますか?

しびれの原因によって有効な治療方法は異なります。

筋肉が硬くなり、循環が悪くなったりすることで痺れが出現している場合などはツボ押しやマッサージが有効なこともありますが、場合によっては強いマッサージや負荷をかけることで病状が悪化してしまう可能性もあります。安易に自己判断することなく、まずは痺れの原因を特定するために医療機関を受診することをお勧めします。

歩いていると片足がしびれてきます。原因はなんでしょうか。

歩いているときのしびれは、神経の病気である「腰部脊柱管狭窄症」と血管の病気である「閉塞性動脈硬化症(ASO)」が原因としてあげられます。「腰部脊柱管狭窄症」では、まっすぐに立っていると背骨の中にある神経の通り道が狭くなりしびれや痛みが出現します。座ってしばらく休んだり、身体を前にかがめる、カートを押して歩くなどで楽になるのが特徴です。

「閉塞性動脈硬化症(ASO)」は、歩くことでふくらはぎの筋肉が収縮し、その結果足の血流が悪くなることによって起こるため、立ち止まって休むだけで比較的すぐに症状が消失します。

手の親指や人差し指、中指がしびれます。

手のしびれの原因は、首の病気と、首から出た神経が指先に行くまでの通り道で障害を受けている場合との二通りが考えられます。手の指はそれぞれ異なる神経が通っていて、どの指がしびれるかで、ある程度病気の場所を予測できます。

親指から中指にかけての症状では、頚椎の6・7番目の神経が関係していることが多く、「頸椎椎間板ヘルニア」や「頚椎症性脊髄症・神経根症」などの病気が疑われます。

また、前述の手根管症候群でも同様に親指から中指にかけて症状が出現し、握力が落ちる、親指の付け根が痩せてきたり、親指と人差し指で物をつまむ動作がうまくできなくなる、OKサインが上手くできなくなるといった症状が出現します。

手の薬指や小指がしびれます。

上の質問と似ていますが、薬指や小指の症状の場合は頚椎の8番目の神経が関連していることが多く、こちらも「頸椎椎間板ヘルニア」や「頚椎症性脊髄症・神経根症」といった首の病気が疑われます。

また、「肘部管症候群」という病気が症状を引き起こしている可能性もあります。肘部管は肘にある神経の通り道で、ここで神経が圧迫されることで症状が出現します。筋肉が萎縮してしまうため握力が低下し、手のひら全体が平べったく見えるようになります。また、薬指や小指が伸びきらなくなる症状(鷲手変形)が出現することもあります。

朝起きたら手がしびれています。病院にかかったほうが良いでしょうか?

寝起きの手のしびれは、寝ているときに首や腕が圧迫されて起こることが多いです。寝返りが少なく長時間同じ姿勢で寝ている場合に起こりやすく、枕の高さが合わない場合や、泥酔状態で就寝、寝返りするのに十分な広さがない場合など、原因は様々です。また、腕を頭や体の下に敷いて寝てしまった場合などにも、神経が圧迫されて寝起きに症状が出現することがあります。

まずは寝るときの姿勢や環境を見直し、それでも変化がない場合や、起床後しばらくしても症状が落ちつかない場合、悪化傾向にある場合などは頚椎椎間板ヘルニアなどの首の病気が疑われますので医療機関の受診を考えましょう。

しびれだけでなく、指の力が入らない、頭痛、めまい、吐き気、ろれつが回らないといった症状がある場合は要注意で、脳梗塞など脳の病気の可能性もありますので、早めに病院を受診しましょう。

いつも右腕(左腕)がしびれています。

手ではなく腕のしびれの場合、頚椎椎間板ヘルニアなどの頚椎の病気の他、胸郭出口症候群といった末梢神経の病気が疑われます。

胸郭出口症候群は鎖骨付近で神経が圧迫される病気で、電車のつり革につかまる時や、洗濯物を干すような腕を挙げる動作で肩から腕にかけてしびれや痛みが生じます。症状が軽度の場合、リハビリや投薬などで改善することも多いので、整形外科を受診してみるといいでしょう。

また、前述の通りしびれの原因は様々ですが、多くの場合片側のみの症状であることが多いです。
頚椎の病気や末梢神経障害は両側同時に起こることが少ないためですが、頚椎の病気もある程度重症になると(頚髄症)、両側に症状が出現してきますし、両側同時に胸郭出口症候群や手根管症候群といった病気になることもあります。

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足が常に痺れた感じがします。

前述の通り、足のしびれは多くの遠因が考えられますが、軽症の場合、すぐに病院にかかる必要はないものがほとんどです。

悪化傾向にある場合や生活に支障がある場合、足に力が入らなかったり感覚がおかしくなったりする“麻痺”がある、長く歩けないといった症状がある場合や、尿が出にくいといった症状(膀胱直腸障害)がある場合は早期の治療が必要なことがありますので、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

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糖尿病でも手足がしびれると聞いたのですが。

糖尿病はある程度進行すると神経の働きが悪くなり、手足のしびれや感覚が鈍くなるといった症状を引き起こすことがあります。

両手や両足に左右同じくらいの強さで出ることが多く、足の冷え・冷感、熱感、といった症状を訴える方もいます。糖尿病が進行すると、しびれや感覚の鈍さから怪我ややけどに気がつきにくく、循環が悪いことから通常より治癒に時間がかかるようになります。そのため怪我が重症化しやすく、ばい菌が入ったり壊死したりすることで最悪の場合、足を切断することにもなりかねません。

糖尿病由来のしびれにはこういった怖さがありますので、きちんと専門医の治療を受けることをお勧めします。

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東京腰痛クリニック
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監修

伊藤 不二夫

医師 伊藤 不二夫

プロフィール

医療法人 全医会
あいちせぼね病院 理事長

日本整形外科学会専門医
医学博士
(名古屋大学 医学部卒・大学院修了)

伊藤 全哉

医師 伊藤 全哉

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あいちせぼね病院 院長

日本整形外科学会専門医
医学博士
日体協公認スポーツドクター
(名古屋大学 医学部卒・大学院修了)

三浦 恭志

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