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腰椎すべり症
質問と回答
腰椎すべり症について教えてください。
腰椎すべり症とは、積み木のように連なる腰椎が、文字通り前方へ滑り出してしまい、様々な症状を引き起こす病気です。
腰椎すべり症は、大きく背骨や椎間板などの変性によって起こる「変性すべり症」と、腰椎分離症に続発する「分離すべり症」とに分けられます。
原因は違いますが、それぞれ出現する症状はほとんど変わりません。4番目の腰椎に好発し、診断にはレントゲンやMRI、CT検査に、場合によっては造影剤などを用いた検査を行います。
腰椎分離すべり症について教えて。
背骨の本体である「椎体」と後ろ側で関節を構成している「椎弓」とが分離してしまった状態が腰椎分離症です。この状態で放置されてしまうと、分離した部分の腰椎の安定性が失われ、上下の骨にずれ(すべり)が生じてしまいます。
このように、根本に腰椎分離症があり、その結果腰椎すべり症に移行してしまった状態を「腰椎分離すべり症」と言います。
腰椎変性すべり症について教えて。
変性すべり症は、明らかな原因は不明ですが、多くは加齢とともに椎間板や靭帯、関節など腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴って腰椎の安定性が失われ、腰椎にずれ(すべり)が出現します。このように、加齢や長期間にわたる負荷などによって徐々に腰椎が変性を起こし、その結果発症したすべり症を「腰椎変性すべり症」と呼びます。
そのため、分離すべり症に比べ高齢で発症し、骨などの組織が変性を起こしやすい女性に多いようです。
腰椎すべり症ではどんな症状が起こるの?
すべりの程度にもよりますが、症状としては、まず腰痛と坐骨神経痛があげられます。すべりが強度になってくると、腰椎の後方を走る脊髄神経が圧迫され、下半身に痛みやしびれが出現します。
また、長い距離を歩くと痛みやしびれが出現し、かがむことで楽になる「間欠性跛行」と言う症状も多く見られます。
分離すべり症も変性すべり症も結果的には脊髄神経の圧迫が症状の主な原因となるため、出現する症状に大きな差はありません。
腰椎すべり症の治療について教えて。
すべり症の治療ではまず保存療法が選択されます。
コルセットなどにより、腰への負担を軽減し、消炎鎮痛剤や、ブロック注射などで症状の軽減を図ります。また、リハビリとしては、ストレッチや腹筋を中心とした筋力訓練などを行うのが一般的です。
症状が落ち着いてくるようなら、リハビリなどを継続しつつ様子を見ますが、痛みやしびれが激烈な場合や、足などが動かなくなったり、感覚が無くなってしまう麻痺と呼ばれる症状が出現している場合などは手術療法が検討されます。
腰椎すべり症の手術について教えて。
生活に大きな支障がでたり、症状が激烈な場合など、重症例には手術療法が検討されます。
代表的な手術は固定術と呼ばれ、骨を削るなどして神経の通り道を広げ、すべりを起こしている背骨部分を、自らの骨や金属などを用いて固定する手術です。手術方式によって固定力や、切開の大きさに差があり、患者様の状態や病状によって使い分けられます。
術後は固定した部分が安定するまでしばらく時間がかかり、ある程度の安静やコルセットなどによる保護が必要です。
起床時に足先のしびれや、足の付け根の痛みなどがあり、「すべり症」と診断されました。悪化させないためにはどうしたらよいでしょうか。手術は必要ですか。
すべり症は背骨の関節や椎間板の変形などにより、背骨がずれる病気です。
大きく分けて二種類あり、一つは主に加齢による椎間板の変化が原因となる変性すべり症。もう一つは、子どもの頃に激しいスポーツなどで疲労骨折した部分が分離し、そこからずれが生じる分離すべり症です。
相談者は変性すべり症の可能性が高いと思います。変性すべり症の多くは、五つある腰椎の上から四番目の骨が少し前に出て、五番目との間にずれが生じます。腰椎がずれることで神経が通る脊柱管が狭くなり、腰痛やお尻、下肢の痛み・しびれを引き起こします。歩行中に足に痛みやしびれが出るのも典型的な症状です。
治療はまず、鎮痛剤の服用や、炎症や腫れを取るための注射などの保存療法が一般的です。その上で、腹筋や背筋を鍛える体操や、柔軟性を高めるストレッチを行いましょう。薬を併用しながら、こうしたリハビリを続けると、かなりの効果が出ることも多いです。
手術するかどうかは、症状や日常生活への影響の度合いなどから判断します。脊柱管狭窄(きょうさく)の場合は広げる手術。腰痛がひどかったり、神経の出口となる椎間孔まで狭窄していたりしたら、骨のずれ自体を戻し、固定する手術法も選択肢となります。手術を検討するようなケースは、脊柱の専門医に相談することを勧めます。