外来案内:リハビリテーション

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コラム | 姿勢① ~悪い姿勢はイメージが原因?~

姿勢

現代人の多くが悪い姿勢に頭を悩ませています。
悪い姿勢の代表と言えば「猫背」ですが、それ以外にも「反り腰」「スウェイバック」など様々な種類が存在し、「見た目の印象が悪い」というデメリットはあるもののすぐさま生活に大きな支障をきたすことは少ないため放って置かれることも多くあります。

人は自分の姿勢をどのように把握しているのか

地図によって現在地を知ることができるように、人は脳にある身体マップによって姿勢を把握していると言われています。これは身体図式(ボディスキーマ)などと呼ばれ、「自分が今どんな姿勢をしているのか」「各関節がどんな位置にあるのか」などは目を瞑っていても把握することができます。

似た表現に身体イメージ(ボディイメージ)がありますが、こちらは「腕の長さはこれくらい」とか「太い・細い」など、主に体型の認知を指す言葉です。

身体認知(ボディースキーマ・ボディーイメージ)
身体認知

ボディイメージやボディスキーマなどをまとめて身体認知と呼びますが、これらは筋肉や骨、靱帯、腱などの関節を構成する組織の他、足裏が地面から受ける力や眼で見た情報、三半規管(平衡感覚)、記憶などの情報を基に、脳が作り出しています。この機能によって体の傾きや位置のズレを感知して修正することができるのです。例えばズレが生じた関節の筋肉を収縮させて、変化を把握するなどしています。

身体マップの形成

身体マップの作成は赤ちゃんの時から始まり荷重刺激(重力)・触覚刺激・視覚刺激などの外部刺激によって作られます。

生まれてすぐの赤ちゃんは自分の手や足の存在を知りません。成長に伴い、周りの環境や自分の体に興味を示し、体を動かし目で見て手で触れることで、それらを認知し始めるのです。例えばある時うつ伏せになり膝が地面につくことで体重がかかると、そこで初めて「自分には膝がある」ことを認識し始めます。ある時、認識された膝が自分で動かせることに気付き、膝周りの筋肉とのつながりなどが作られていきます。このように、多くの情報を脳が記憶し身体マップが作られていきます。

身体認知が崩れる

ボディスキーマなどの身体認知は変化するものです。

例えば猫背になると、脳はいわゆる「良い姿勢」の記憶との違いを認識し、良い姿勢になるように修正をし始めます。しかし猫背が長く続くと、いわゆる「慣れ」が生じ、姿勢の情報を上書きし始めるのです。こうなると猫背が普段の姿勢となってしまい、意識しないと修正できなくなることが予想されます。

もちろん、柔軟性や筋力が問題となって姿勢が崩れていることもありますが、こういった身体認知が原因で姿勢が崩れている人は多くいらっしゃいます。身体認知の変化は姿勢に限らず様々な影響を与えますが、総じて体をイメージ通りに動かすことが難しくなり、パフォーマンスの低下に繋がります。

こうなると、自然に修正されることは望めず、外から刺激(負荷)を与えて身体認知を変えていく必要が出てきます。
以下に、身体認知がズレている例を紹介します。

四つ這い

頭が肩より下がって猫背気味になっているが、本人は右写真のように背中が真っ直ぐだと思っている

スクワット

お尻の位置が高くスクワットが浅いが、本人は右写真のように深く曲げているつもり

投球動作

肘が肩よりも下がっておりケガをしやすい投げ方だが、本人は肩と肘の高さが同じくらいだと思っている

上記のようにイメージと実際の姿勢にズレが生じていると、例えば肩こりや腰痛になりやすかったり、スポーツなどでケガに繋がるケースがあると考えられます。

リハビリでは、イメージと実際の姿勢・動作にズレがないかをチェックし、そのギャップを埋めるように運動などを行っていきます。

あいちせぼね病院
リハビリテーション部 理学療法士
山本剛史

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