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コラム | 体幹トレーニングについて①

体幹とは?

「体幹」と聞くと、お腹辺りをイメージされる方が多いと思います。
正確には図のオレンジ部分、胸郭・脊椎・骨盤で構成された部位を指し、人間の体重の半分近くを占めていると言われています。

体幹

体幹の役割

体幹の役割は大きく三つ、①姿勢の維持②体を動かす③内臓や神経の保護があります。
立つ、座るといった姿勢をつくる大黒柱としての役割(①)、腕や脚を動かす際の軸としての役割(②)、内臓と脊髄(神経)を包み、保護する役割(③)です。
体幹が人間にとって、とても重要な部位であることがわかります。

体幹の重要性 ~運動時~

ここでは主に②の役割について解説していきます。なぜ運動時に体幹が重要なのでしょうか。

例えば体幹がグラグラとした不安定な状態だと、腕や脚を動かす時に軸である体幹も一緒に動いてしまいます。これは非常に効率の悪い動作です。また、体幹が不安定な状態では、物を持つときなども体をまっすぐに支えることができなくなってしまいます。

他にも、体幹の上には頭が乗っていますので、体幹が不安定だと頭がフラフラとしてしまい、上手く姿勢を保つことができなくなってしまいます。

体幹が不安定な人は皆さんが想像する以上に多くいらっしゃいますが、多くの人たちは自分の体幹が不安定であることに気が付いていません。なぜなら、他の筋肉で体幹の不安定さを誤魔化して生活できるからです。これも1つの《癖》と言えます。

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体幹はしっかり安定していて初めて、その重要な役割を果たすことができるのです。

体幹が不安定だと疲れやすい

体幹が不安定な状態では、多くの動作が効率の悪い動きとなってしまいます。

少ない動きでも必要以上にエネルギーを使うため疲れやすくなり、また腕や脚が重く感じるようにもなったりもします。つまり、体幹の適切な安定性を保つことができれば、効率の良い動きを獲得し少ないエネルギーで動くことが可能になるということです。その結果、活動時に疲れにくくなったり、スポーツであればパフォーマンス向上に繋がってきます。

体幹を安定させよう

体幹の安定性を適切に保つはどうすれば良いでしょうか。
体幹の安定性を保つためには、体幹の筋肉をバランスよく働かせる必要があります。

腹筋・背筋運動や、メディアで体幹トレーニングとして紹介されている “ドローイン”という運動を行われることが多いようで、特に“ドローイン”は別名コルセット筋とも呼ばれている腹横筋を鍛える運動として、非常に有名です。

しかしこれらのエクササイズは、主に筋肉を単独で働かせる運動であり、体幹の筋肉をバランスよく働かせるためには十分とは言えません。

そこで、体幹の筋肉をバランスよく働かせるために、お勧めしているのが「ブレーシングエクササイズ」です。

ドローイン

ドローインはお腹を凹ませて体幹を安定させる運動で、先述の通りコルセット筋とも呼ばれる腹横筋を鍛える運動です。腹横筋が弱くて体幹が安定していない場合にはドローインが有効である可能性があります。

エクササイズ方法

  1. 仰向けになって膝を曲げます
  2. 骨盤の骨の出っ張りの内側に手を当てます
  3. 息を吸って、吐きます
  4. 息を吐くときにお腹を凹ませて腹横筋を収縮させます
  5. 一連の流れを繰り返します
    ※強く凹ませ過ぎると別の筋肉(腹斜筋)が働いてしまいます
仰向けになって膝を曲げます

ドローイン(お腹をへこませた状態)では運動時に十分な安定性を獲得できないとも言われています。腹横筋を働かせるトレーニングとしては良いですが、普段の生活や運動時にお腹を凹ませた状態でいる必要はありません。

ブレーシング

ブレーシングはお腹を膨らませて体幹を安定させる運動で、お腹周りの筋肉全体を働かせて腹腔内圧(IAP:Intra-abdominal pressure)を高めることができます。

エクササイズ方法

  1. 膝を曲げて仰向けに寝ます
  2. 骨盤の骨の出っ張りの内側に手を当てます
  3. 息を吸った時にお腹を360°膨らませます
  4. 息を吐いたときにお腹を凹ませます(完全には凹ませない)
  5. 一連の流れを繰り返します
膝を曲げて仰向けに寝ます

この時、しっかりお腹が全方向に360°膨らんでいるかどうかをチェックしましょう。
よくあるエラーとして、お腹(前側)だけが大きく膨らんでくるパターンがあります。

ブレーシングのやり方は色々ありますが、まずはこれくらいから始めてみるといいでしょう。こちらはドローインとは違い、普段からお腹を膨らませることを意識するのもいいでしょう。IAPについては、こちらのコラム「体幹トレーニングについて②」にて説明しています。

まとめ

体幹安定性は効率よく動作を行い、運動パフォーマンスを上げるためにとても重要です。しかし現実では体幹が不安定な人は多く、また不安定な状態に気がついてない人も多いと言えます。

自分の体の状態を把握し、自分にあった運動で体幹を安定させることが大事になってきます。まずは、上記のブレーシングから始めて、体幹を安定させる(腹腔内圧を高める)ことを意識していきましょう。

ドローイン ブレーシング
お腹を凹ませて体幹を安定
・腹横筋の収縮を狙う
 *腹横筋単独の強化には良い
お腹を膨らませて体幹を安定<
・体幹筋群を協調的に働かせることを狙う
 *体幹の適切な安定性に最適

あいちせぼね病院
リハビリテーション部 理学療法士
山本剛史

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