外来案内:リハビリテーション

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コラム | 姿勢② ~猫背~

猫背

一般に背中が丸まった姿勢を「猫背」と呼びますが、猫背1つとってもいくつかのパターンかあります。高齢の方では背中全体が丸くなっていることが多く、比較的お若い方では背中の下の方(下位胸椎)や首のすぐ下(上位胸椎)が丸いケースが多い印象です。

猫背は大きく以下の3パターンに分けられますが、猫背だと言われる人も背中のどの辺りが丸くなっているのか、写真を撮ったりして確認してみましょう。また、お腹に線・横皺が出来ているかも併せてチェックしてみるといいでしょう。

若い人に多い猫背①

背中の下の方(下位胸椎)が丸いパターンです。腹筋の上側が強く働いている時などに起きることがあり、例えば腹筋運動で腹筋上部ばかりが使われた結果、肋骨が下方向に引き寄せられ背中が丸くなっていきます。
骨盤と胸郭(肋骨と胸の骨で構成されている)の位置関係など、原因は一概には言えませんが、多くの場合、腹筋が関係しています。

姿勢を正そうと意識して胸を張ってみてもうまく修正されないことが多いため、みぞおちを中心に上下に伸びることを意識してみるといいでしょう。

猫背(腰と肩甲骨の間)

若い人に多い猫背②

背中の上の方(上位胸椎)が丸まっているパターンです。胸の筋肉に引っ張られて肩が前に出てしまい、それに合わせて背中が丸くなっていきます。いわゆる《巻き肩》と言われる状態です。

日常生活動作のほとんどが体の前側での作業であり、腕を体より後ろに動かすことが少ないことがなど関係しています。例えばデスクワーク、スマートホン、パソコン作業、料理・掃除など、あらゆる動作は体の前側で行う作業ですね。その場合、日々の生活で行っている動作が悪循環を引き起こしていることがあります。

姿勢を正すには、胸を張る、腕を開く(掌を外に向ける)ことなどを意識してみましょう。

首近くの猫背

高齢者に多い猫背

円背と呼ばれる、背中全体が丸くなっているパターンです。
普段は姿勢を保つために背筋を中心とした筋肉が働いていますが、それが疲れてくる・弱くなることで、背中を真っ直ぐに保てなくなっていきます。

意識して胸を伸ばすこととみぞおちを中心に上下に伸びることを意識することが大切ですが、多くの場合、背筋を鍛える運動が必要になります。

亀背

猫背とIAP(腹腔内圧)の関係

以前解説したIAP(体幹トレーニングについて②)も猫背と密接に関わっています。

猫背の状態ではIAPが高まっていないことが多いことから、IAPが適切に高められるように練習することで、背中を真っ直ぐに保つことができ、猫背予防につながる可能性があるかもしれません。

猫背が生活やスポーツ動作に及ぼす影響

猫背は背中が丸くなり胸郭が下がった状態です。
肺が膨らみにくくなって呼吸がし辛くなったり、消化器系が圧迫されて食欲低下を引き起こしたりする可能性があります。
腹筋の緊張が高く猫背になっている場合などでは、例えばバレーボールやテニスのサーブなどで身体を反らすことができずパフォーマンスが低下する可能性があります。腕の力でサーブを強く打とうとして肩や腕のケガに繋がることになるかもしれません。

猫背は日常生活やスポーツへ少なからず影響を与えているでしょうから、適切なチェックと運動で猫背にならないよう意識していくといいでしょう。

あいちせぼね病院
リハビリテーション部 理学療法士
山本剛史

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